後期キャンペーンの後始末・その３
まあ、時間を空けましたね（苦笑）
ともあれ続けます。今回は裏舞台の中盤戦、残ったＮＰＣ諸氏の解説です。
後期キャンペーンの後始末 - Strange/Tone
後期キャンペーンの後始末・その２ - Strange/Tone
もっともこのキャンペーン、そもそもは“長めの単発”というコンセプトで作っておりＮＰＣの数はかなり少ないですけどねｗ
ＦＨのマスターエージェントについて
さて、まずはそもそもＰＣ達が集められた連絡途絶したマスターエージェントについてです。
結論から言うと、彼が賢者の石を持ってこの街に入ってしまったことが今回の件の発端になっています。以下、設定。
- 名前は香川*1。欲望は“進化”、理性を保ったまま（つまりジャーム化しないまま）ペナルティなく(現実的には限りなく少なく)高レベルのレネゲイドを扱える手法を求めている。自身もかなり優秀なレネゲイド研究者であり、自ら賢者の石を研究しそれを生み出すことに成功している。
- 同時に能力者としてはかなり強力なサラマンダー・ピュアであり、戦闘能力に特化している。参考までにコードネームは“クリスタルマスター”。セルメンバーは大半が彼と目的を同じにする研究者たちであり、セルの活動は研究とフィールドワーク、実験などの学術的なものが中心。
- 性格は理性的なのだがやや直裁的な合理主義者、問題が起きない限りに置いて最短・最速での行動解決を図る。道徳心は極めて薄いのだが、それをあからさまにすることはそれなりに馬鹿にできないレベルで敵を作るケースが多いため、不必要に表に出さない。端的に言えば“その方が有利だから”形式上の道徳を守れる限りは守るとかそういう感じ。
- そのためフィールドワークの一環で、伝承などから強力なレネゲイドビーイングないしEXレネゲイドが存在する可能性を確かめにこの街へと赴く。結果として外に連絡出来ず、外にも出られずといった事態に陥る。
彼が所持する賢者の石の莫大なレネゲイドによって、レネゲイド吸収システムに負荷がかかり綻びが生じてしまったというのがシナリオスタート時の状況です。平常運転ならば街に入り込んだオーヴァードは特に街の秘密に関わらない限りに置いて（そして大体そうなるように“監視者”は状況を操作します）、そのまま出ていけます。レネゲイドの減衰も本来はかなり緩やかなものなので一時滞在程度ならちょっと調子が悪くなる、程度で済むのですね。一般人化までしてしまうのは、あえて滞在を続けた人間や致命的なまでに街の秘密に気づいてしまったものだけでした。
まあつまり賢者の石のレネゲイドを吸収するために吸収システムが過剰運転を始めてしまい、結果として異常が目に見えて分かる状態になり、香川が容易にそれに気づいてしまった、と。この時点で“監視者”は連絡途絶フィールドと脱出禁止フィールドを貼り、賢者の石を吸収し切った後に平常運転に戻すつもりでした。もちろん捜索なども来るでしょうが、平常運転にもどるまではまあ入ったヤツ全員基本“行方不明”になってもらう予定、と。
彼のレネゲイド減衰は手元にある賢者の石によってかなり緩和されていますが、データ的には話数ごとに75点→50点→25点と経験点推移させています。なお元はＰＣたちと同じ150点で出来ています、条件を満たしＰＣ達のレネゲイド（経験点）が戻ったときに彼が生きていれば同じく150点バージョンに戻る、と。ああ、余談ですがそんな彼から賢者の石を奪うことに成功したならばそのキャラのシナリオごとの経験点減少は上記のとおり−50点から−25点に抑えられていました。
さて。そんな香川センセの役回りは実はかなり多岐に渡っています。第一に上記のような異常事態、つまりはシナリオの発端。第二に最低約一名のＰＣの目的としての存在。第三にかなりのレベルで街の現状を伝えられ、しかしＧＭの都合のいいところまでしか知らないで居られる情報提供者*2。第四に純粋戦力としてのお助けＮＰＣ。
データはサラマンダーピュアにして以前のキャンペーンからの微アレンジ*3で持ってきました。条件として１）十分な戦力があり ２）ただ“監視者”にはどうあっても勝てず ３）本人の能力でやっかいな抜け道が通過されるケースは極めて少ない という素晴らしい資質を持っていたのでＧＭに大変都合が良かったのですｗ
そんな彼ですが、上記のとおり“監視者”本体に絶対勝てないのでかなり追い詰められています。１）命を取られる ２）賢者の石を取られる の二点がなければ一も二もなくＰＣに協力して全面的に出来うる限り力を尽くしてくれますし、２）も交渉次第で諦めてくれます。彼の第一次目的は出来る限り力を戻して街から出ること、というわけですね。つまりここだけは素直にＰＣ達はとっかかりである彼の行方を追えば順当に回るようになっています。
ＵＧＮ支部について
もうひとつの初期状態でのＰＣのとっかかりとして街のＵＧＮ支部が存在します。軽く触れましたが、彼らは主にＰＣ達に異常を察知させ、シナリオのとっかかりを作るための役目を持っています。
というところでしょうか。行動方針としては、おそらく入ってくると（“監視者”にはそう予想された）見られる外部組織のオーヴァードを捜索し、対応すること。彼らが有する“異常”は１５０経験点クラスの有名なＦＨエージェント達だろうが躊躇なく（そして勝算があるとは思えなくても）武力行使に訴えること*5、そして《ワーディング》が効かないことを了解しているため一般人の目の無いように行動すること、最後の極めつけとしてオーヴァードとされている支部長を含めて全員オーヴァードではないこと、です。
こういったところから異常の片鱗を感じ取ってもらうこと、ならびにできるだけ多くのＰＬにペナルティの存在を見せること、最後に１５０経験点のＰＣがどんなに強いかＰＬに味わってもらうための一話目のクライマックス戦闘相手、主に以上３点が彼らの存在理由です。……ええ、１５０経験点が複数人集まればアレくらい余裕でボッコにされると私は思っていたのですよ？
最後に。ＵＧＮ支部の端末にはジャーム化した妹と共に逃亡した元・ＵＧＮの研究者としての“監視者”の情報があります……ありましたｗ つまり“監視者”本体の行方を（主に二話目以降）追ってもらうための手がかり、特に香川との差分として“監視者”の動機やパーソナリティを探る上での手がかりとしての情報です*6。
おお、素晴らしい！ こうまとめてみると最初にＰＬに与え示唆した「連絡途絶したマスターエージェント」と「存在するＵＧＮ支部」を普通に追えばシナリオが回るようになっていることは一目瞭然ですね？ｗ
……まあそれが善意であれ悪意であれただの言い訳であれＧＭの目論見なんてアテにならないものです。
その他のＮＰＣ
名前ありとして用意し、ＧＭがシナリオ上の役割を割り振ったＮＰＣは以上です。例えば、“監視者”の妹などももちろん街に存在しますし、これまで入ってきて一般人化してしまった外のオーヴァード達も存在はします。なお極度にＮＰＣが少ないキャンペーンですから、ＰＬサイドが提案することで名前有りＮＰＣに昇格させることは積極的に容認するつもりでした。例えば、ハンドアウトのひとつの中で出てきた“一般人化してしまっている見知った顔のオーヴァード”、を提示された設定上の齟齬がなかったので“監視者”の妹にして、名前有りＮＰＣに昇格させるなど*7。
まあこれを目算と呼ぶのは若干おこがましいですが*8、ＮＰＣが少ないことには隣のＰＣと決別することにリスクを設け、軽々しくはさせない効果があります。タイタスにしなくていい中途ロイスの大半は隣人たるＰＣのはずです。それが必然なら決別することをもちろん私は止めませんが、簡単に物別れに終わっても困る、だからＮＰＣが少ないことは逆に都合がいい、というくらいのものです。
さて、今日は遅くなったのでここまでです。次回は最後、ＰＣ諸氏のハンドアウト解説とそこから発展するシナリオ進行の目算などをやってまとめます。
なお一応そこで一区切りではありますが、その後cielx先輩向けという意味を含めて結局どんなＰＣ達がどんなことをやってどこまでボクの目算が破壊されたか、オチを晒したいと思っていますｗ
*1:はて、下の名前がどこにも見当たらない上に忘れましたね（汗）
*2:特に最短で“監視者”本体の場所を捜すのならば彼に聞くのが一番です
*3:参考までに前キャンペーンのマスターブレイズですね
*4:“監視者”の彼が来るまでは偶然、それ以降は必然
*5:というのも“監視者”の目的としては、入ってきたヤツを“視て”一度目のペナルティを与えることで、“監視対象”にすることですからＵＧＮ支部が勝っても負けてもどっちでもいいわけです。
*6:顔写真のデータなどもありますから、行方自体も時間はかかりますが目撃証言で追えますけどね
*7:本来は異常を認識させるだけの存在ですから、それ以上の役割とパーソナリティをこちらでは用意しておりませんでした
*8:だって構造上極小で収まってしまったというだけですし
